勉強用

個人的に勉強したことをまとめます

造影剤腎症

1 造影剤腎症(contrast induced nephropathy:CIN)はどのように診断するか?
→一般的にはヨード造影剤投与後,72 時間以内に血清クレアチニン(SCr)値が前値より 0.5mg/dL 以上または 25%以上増加した場合に CIN と診断する.
→CIN 発症のリスクは腎機能低下に応じて増加するので,造影前にできるだけ直近の SCr 値を用いて腎機能を評価することが重要である.慢性腎臓病(CKD)の腎機能による重症度分類(表1)では,GFR<60 mL/min/1.73 m2のG3a~G5がCKDに該当する.

2 経静脈的造影剤による検査
CKD:eGFR<30 mL/min/1.73 m2の場合,予防策を講ずることを推奨 
重症患者:重症患者では,造影剤投与の有無にかかわらず AKI を発症するリスクが高いため,適切な予防策を講ずることを推奨
造影剤の減量:診断能を保つことのできる範囲内で最小限の造影剤投与量を推奨 Ⅳa(C) 
造影剤を減量する場合の撮影法:使用が可能な施設では低管電圧撮影と逐次近似画像再構成の併用を推奨
短期間反復検査:推奨しない 

3 造影剤腎症予防のための輸液法
生理食塩液:生理食塩液を造影検査の前後に経静脈的投与をすることを推奨 
飲水:飲水のみによる水分補給よりも輸液などの十分な対策を講じることを推奨
重炭酸ナトリウム(重曹)液:重炭酸ナトリウム(重曹)液投与は CIN 発症リスクを抑制する可能性があるため,輸液時間が限られた場合には,重曹液の投与を推奨
短時間重曹輸液:輸液時間の限られた緊急症例を除き,長時間輸液を行うことを推奨 
1.生理食塩液を造影開始 6 時間前より 1 mL/kg/h で輸液し,造影終了後は 1 mL/kg/h で 6~12 時間輸液
2.緊急症例では重曹液を造影開始 1 時間前より 3 mL/kg/h で輸液し,造影終了後は 1 mL/kg/h で 6 時間輸液

4 造影剤腎症の予防・治療
透析含め薬物投与による予防は推奨されない。
発症後の治療法として、薬剤を用いることは推奨されない。急性血液浄化療法に関しては、乏尿を伴う全身状態不良な患者には推奨されるが、腎機能予後を改善すること自体を目的とした急性血液浄化療法は推奨されない。

その他
透析中の造影CT→○
透析中の造影MRI→x

ビグアナイド系糖尿病薬
造影剤使用後の乳酸アシドーシス発症のリスクあり。
腎機能正常なら、
1.検査時からビグアナイド系糖尿病の内服を中止する。
2.検査後48時間はビグアナイド系糖尿病薬内服を再開しない。
3.その後、血液生化学検査にて腎機能に異常がない事を確認した後にビグアナイド系糖尿病薬内服を再開する。
腎機能が低下している場合(eGFR 60未満)
1.eGFRと造影剤使用法の院内規定に注意する。
2.造影剤使用48時間以上前からビグアナイド系糖尿病薬の内服を中止する。
3.検査後48時間はビグアナイド系糖尿病薬内服を再開しない。
4.その後、血液生化学検査にて腎機能に異常がない事を確認した後にビグアナイド系糖尿病薬内服を再開する。
eGFRと造影剤使用法の院内規定のG4扱いとする。
1.eGFRと造影剤使用法の院内規定に注意する。
2.腎機能が正常な場合に準じてビグアナイド系糖尿病薬を休止する。
3.検査後に生理食塩水 500mlを輸液する
4.乳酸アシドーシスの症状について慎重に経過観察する。