勉強用

個人的に勉強したことをまとめます

救急「意識障害」

# 1.意識障害

低血糖の否定は必須だし、ブドウ糖投与を要する患者ではビタメジンの投与も常に考慮する

オーダー 簡易血糖測定 血液ガス (SpO2低下を認めない場合、CO中毒が否定的なら静脈採血も可) 採血 心電図 超音波 頭部CT MRI 腰椎穿刺 

バイタル ABCの安定。

**一般的な気管内挿管の適応としては,(1)低酸素血症および高二酸化炭素血症による呼吸不全,(2)気道防御機能の破綻(咳嗽反射消失,舌根沈下など),(3)NPPV(非侵襲的陽圧呼吸)で改善しない呼吸不全,の3つの場合が挙げられます。また,臨床所見からは,(1)呼吸補助筋使用による呼吸,(2)一文をすべて話しきることができない状態,(3)早く浅い呼吸,(4)十分な酸素投与にもかかわらず低酸素血症が進行,(5)意識障害,の5つの場合に気管内挿管の適応を考慮します。**

 

1バイタルからの考察

血圧高い+瞳孔の左右差(1mm以上の不同あれば尤度比3.56)・対光反射の消失(あれば尤度比9)→脳卒中などの頭蓋内疾患

血圧同等・低い→低血糖・大動脈解離(片麻痺/低血圧)・痙攣・stroke mimics

高齢者→肺炎や尿路感染症の頻度が高い

[若い女性の意識消失発作]

女性の意識消失,特に10〜40歳代の場合には妊娠,特に異所性妊娠の可能性を常に
考えておきましょう。頻度は決して高くありませんが,成人女性が意識消失を認める
場合に必ず否定しなければならないのが異所性妊娠です。
•①妊娠の可能性の確認,②エコーで腹腔内の液体貯留(特にモリソン窩の液体貯留)を
認めるか否かの確認を必ず行いましょう。
•現在生理中だから,数日前に生理が終わったばかり,避妊をしているから,などでは妊
娠を否定するのに不十分です。私は最終の性交渉の日にちを確認するようにしていま
すが,妊娠の可能性がゼロではなく否定できない場合には検査を行ったほうがよいで
しょう。

[脳神経学会のページより](https://www.notion.so/e03992edad7e4512a10edf5018904840)

[失神と鑑別を要する意識障害の原因疾患]

意識消失~低下を起こす疾患

代謝性疾患:低血糖、低酸素血症

てんかん

③中毒

④椎骨脳底動脈系の一過性脳虚血発作

意識消失を伴わず、失神によく似た疾患

①転倒

②脱力発作症候群(cataplexy syndrome)

③転倒発作(drop attacks)

④心因反応(身体化障害、ヒステリーも)

⑤頸動脈起源の一過性脳虚血発作

 

頻呼吸も意識し、qSOFAを満たす場合には敗血症(細菌性髄膜炎~腰椎穿刺を施行・脳炎)、悪寒戦慄を伴うなら菌血症も考慮する

意識障害と意識消失を区別する→意識消失であれば頭蓋内疾患は考えにくい (クモ膜下出血は例外)

 

2疾患を疑って考察

発症様式・時間経過を確認する

突然発症なら脳卒中、時間経過とともに改善傾向ならてんかんなど痙攣後

低血糖なら冷汗の有無

脳梗塞脳出血なら顔面・四肢の左右差の有無

頭痛・頸部痛 くも膜下出血

頸部痛・胸痛・背部痛 大動脈解離

項部硬直 細菌性髄膜炎

[気管挿管について](https://www.notion.so/405d9296d451401dafda6f1543f16502)

[****stroke mimics症例について****]

【目的】Stroke mimicsの特徴を明らかにする。

【対象】2006年から2015年の間でt–PA適応時間内に救急受診した,脳卒中疑い症例に含まれたstroke mimics症例を検討した。

【結果】対象1,557例のうち,stroke mimicsは137例(8.8%)であった。Stroke mimicsの原因疾患として,症候性てんかん28例(20.4%),ヒステリーや不安神経症などの精神科疾患21例(15.3%),低血糖15例(10.9%),急性大動脈解離13例(9.5%)の順で多かった。その他の原因疾患は,感染症,薬物中毒,アルコール関連疾患など多種多様な疾患が含まれていた。

Stroke mimics症例の転帰は,症状軽快し当日帰宅58例(42.3%),経過観察および加療目的で入院し,その後生存退院もしくは転院67例(48.9%),死亡12例(8.8%)であった。死因としては急性大動脈解離が最も多く(13例中6例,46.1%),そのうち半数は当院内で急変して死亡していた。その他の死因は,脳腫瘍3例,敗血症2例,肝性脳症1例であった。

Stroke mimics群は脳卒中群と比較し,

収縮期血圧が低い(143±36mmHg vs. 172±34mmHg; p<0.001)

2NIHSS値が低い(7.3±8.9 vs. 11.9±8.8; p=0.015)

3既往に糖尿病を有する例が多い(20.4% vs. 13.1%; p=0.014)

不整脈を有しない例が多い,で有意差を認めた。(87.6% vs. 78.0%; p=0.007)

また多変量解析にてstroke mimicsの鑑別因子は,

収縮期血圧140mmHg以下,

2NIHSS 5点以下

3糖尿病既往あり

不整脈既往なしが挙げられた。

【結語】急性期脳卒中疑いにおけるstroke mimicsは8.8%であり,原因はてんかんが最も多い。診断にはstroke mimicsを呈するcommon diseasesを熟知し,脳卒中とは異なる臨床的特徴を医療面接や神経診察で評価することが有用である。

 

3 検査

頭部CT 発症時の痛みの有無や血圧の左右差、超音波でフラップや心嚢液貯留の有無は確認しておくべき

頭部MRI 脳梗塞診断に必須ではないが、その後のことを考えると撮影するのが望ましい

腰椎穿刺 感染に伴う意識障害は高齢者では特に頻度が高い。多くは肺炎、尿路感染、胆道系感染だが、意識障害を認める場合には髄膜炎は否定できず、腰椎穿刺を志向する。限られた時間で判断が必要な救急外来では、腰椎穿刺の閾値を下げるべき。

薬物検査 QT延長など心電図以上に注意 過量内服や原因不明の意識障害なら精査する。

→トライエージを行う。

[トライエージについて](https://www.notion.so/77f8e6fabde7462498c83c0fc4010493)

電解質異常 低ナトリウムや高カルシウムは高齢者では頻度が高い 以前の数値と比較するように その他の原因も精査すること

治療 初療時にはABCの安定が絶対であり、細胞外液投与、酸素投与、挿管も検討する

医療面接→既往歴(糖尿病、肝疾患、精神疾患)

内服薬→低血糖眠剤

発見状況→CO中毒・低体温

頭部外傷の既往→慢性硬膜下血腫

悪性腫瘍患者の意識障害は脳転移と決めつけるな。(高Ca血症)

精神病患者の意識障害を薬物中毒と決めつけるな。(水中毒による低Na)

アルコール臭がしなくてもアルコール離脱症候群かも。

帰宅となった症例のうち、低血糖や薬剤による意識障害の場合には内服などの調整が必要

い 意識障害 AIUEOTIPS 

A Alcohol 急性アルコール中毒・Wernicke脳症(ビタミンB1欠乏)・アルコール離脱症候群 

I Isulin 血糖異常 低血糖DKA・非ケトン性高浸透圧症候群 

U Uremia 尿毒症 

E Enecephalpathy 肝性脳症 高血圧性脳症 

E Endocrinopathy 甲状腺クリーゼ(甲状腺機能亢進症) 甲状腺機能低下症(粘液水腫) 副甲状腺クリーゼ(副甲状腺機能亢進症 副腎クリーゼ(急性副腎不全) 

E Electrolytes 低・高Na・K・Ca・Mg血症 

O Opiate 薬物中毒(薬の空き瓶・シート~薬物中毒、農薬~有機リン中毒、火災現場・ガス吸入~CO中毒 

O O2 低酸素血症(気管支喘息・肺炎・肺水腫・肺塞栓・気胸など) CO2ナルコーシス 一酸化炭素中毒 

T Trauma 頭部外傷 脳挫傷 急性硬膜下血腫 急性硬膜外血腫 慢性硬膜下血腫 

T Tumor 脳腫瘍 

T Temperature 低体温 高熱(熱中症悪性症候群

I Infection 髄膜炎脳炎・脳膿瘍(中枢神経系感染症) 敗血症・肺炎(呼吸器感染症

P Psychogenic 精神疾患 

S Seizure てんかん 

S Stroke 脳梗塞脳出血くも膜下出血 

S Shock ショックまたはショックの原因疾患~大動脈解離