勉強用

個人的に勉強したことをまとめます

喘息/COPD


アスピリン喘息の対応メモ

***はてなブログの記事***

【喘息TIPS】

◯喘息に診断基準はないという話 

発作性の呼吸困難、喘鳴、夜間や早朝の咳を繰り返すというのが喘息には特徴的であるが、喘息と診断するからには他の疾患(心不全COPD、気管支拡張症など)の除外が必要。

◯喘息を疑う症状と検査(感度と特異度)

◯喘息の診断に有用な呼気NO試験とは

→37ppbが喘息を強く疑うカットオフ値

◯喘息疑いに胸部レントゲン/CTは必要なのか

レントゲン:他疾患の除外、もしくは肺炎など喘息発作の原因評価に必要

CT:喘息とCOPDACOSの鑑別したい時に有用 

◯喘息発作への初期対応

◯喘息発作における全身性ステロイド治療の方法メモ

ステロイドは内服と点滴では効果は変わらない

・来院1時間以内にステロイド点滴開始で入院回避できることが多い

・ソル・メドロールは半減期的に一日3−4回投与が望ましい。初回125mgその後は40mgなど

・入院後5−7日間投与が推奨されている

💡喘息・COPD発作にテオフィリン点滴をいつ考えるか

メプチン吸入、ステロイド投与で効果が乏しければテオフィリン頓用での使用も考慮する。

(嘔吐や不整脈などの副作用に気をつけて)

💡テオフィリンの作用機序と使い方 

・テオフィリン投与で吸入ステロイド減量期待できる。

・喘息よりもCOPDにより有用と思われる。

血中濃度は5-10μg/ml程度を目標。15μg/mlを超えると中毒症状が出現しうる。月に1回程度測定することが望ましい。

💡喘息患者を帰宅させる時の対応

メプチンとプレドニン内服処方。近医へ必ず紹介。発作を起こさないことの重要性を教育

💡喘息の外来でのステップアップ・ステップダウン

COPD TIPS】

💡COPDの重症度分類と治療法 

💡COPDに対する去痰薬の使い分けとエビデンス 

去痰薬はおまじないの様に処方されがちだが、実際にQOL改善・急性増悪予防のエビデンスがある。

💡COPDにおける在宅酸素療法(HOT)の適応

推奨は安静時SpO2 88%以下のPt。目標は90%以上に。安静時88%-93%での患者へのHOT適応は予後もQOLも改善させない

【その他】

◯咳喘息と喘息の違い

咳喘息は喘息と同様に気道で好酸球性の炎症が起こる病態であるが、wheezeはなし。咳喘息は3割が気管支喘息に移行する。 

◯wheezeの重症度分類

軽症な順:強制呼気時のみwheeze→平常時呼気時にwheeze→呼気時+吸気時にwheeze→wheezeなし。吸気時にもwheezeが聞こえ始めたら重症。更に重症化するとwheezeが聞こえなくなる

◯rhonchi(いびき音)とwheezes(笛音)の違い

wheezesは気管支喘息のような末梢の細い気道が狭窄することで、rhonchiはCOPDや気管支拡張症などで中枢の太い気道が狭窄することにより聞こえる音。

◯stridor(吸気性喘鳴)とwheeze(笛音)の違い

striodrは吸気時に聞こえる喘鳴@上気道の狭窄(咽頭喉頭、胸郭外の気管)

wheezeは主に呼気時に聞こえる連続性ラ音@下気道の狭窄

ステロイド利用前の採血

ステロイドでは種々の副作用が生じうるため、投与前にスクリーニングが必要。

 

◯病歴・身体所見の確認

・消化性潰瘍や消化管出血の既往

・内服薬の確認、NSAIDSの中止

・高血圧、下腿浮腫、心不全の有無

◯検査

・末梢血検査(白血球分画、MCV、赤沈、CRPなど)

・生化学検査(AST,ALT,ALP,LDH,血糖,IgG,IgM,IgAなど)

B型肝炎スクリーニング(無症候性キャリア、既感染者にステロイド投与すると劇症化しうる。まずはHBs抗原チェック。

*HBs抗原陰性であればHBs抗体、HBc抗体を測定。どちらかが陽性であればHBV-DNAを1−3ヶ月毎にフォロー。

*HBs抗原陽性であればHBe抗原、HBe抗体、HBV-DNA測定を測定し早期の拡散アナログ製剤考慮@消化器内科相談

C型肝炎スクリーニング(HCV抗体)

・糖尿病の有無(血糖値、HbA1c

脂質異常症チェック(LDL/HDLコレステロール中性脂肪

膠原病類のチェック(抗核抗体、抗CCP抗体、IgG,IgA,IgM,C3,C4,MPO-ANCA,PR3-ANCAなど。その他必要に応じて)

感染症の有無(βDグルカン:真菌感)、C7HRP:サイトメガロウイルス

・胸部レントゲン(結核の潜在性再燃が起こることがあるため。プレドニゾロン15mg/day以上を1ヶ月以上投与するような場合はIGRA(T-SPOT®やクォンティフェロン®)などでもスクリーニングを行うと良い。(T-SPOT,QFTどちらでも良いがステロイド投与後の場合はT-SPOTの方が影響を受けにくい=感度が下がりにくい)

*PSL15mg/dayの1ヶ月以上の投与で優位に結核発病のリスク上昇あり。

*もし潜在性結核であることが判明したらイソニアジドを6−9ヶ月投与する(イソニアジド100mg1回3錠1日1回朝食後)

体幹CT:CTにて悪性腫瘍や感染症の有無評価。活動性の感染症がある場合はそちらの治療を優先。

・骨密度測定:(腰椎・大腿骨頚部)、胸腰椎X線

・眼科受診(開放隅角緑内障の家族歴、40歳以上の糖尿病、強度近視がありステロイド長期投与が必要な場合は緑内障リスクが有るため開始前にスクリーニング)

・口腔外科受診(ステロイド開始後、骨粗鬆症でビスホスホネート(BP)開始の場合、BP使用中の抜歯は顎骨壊死リスクとなるためステロイド開始前に歯科治療の必要性の有無を評価してもらう)

・NSAIDSの中止(NSAIDSとステロイドの併用は上部消化管出血のリスクになる。やむを得ず使う場合はCOX2阻害薬に変更、もしくはPPIを併用)

ステロイド単独では上部消化管出血のリスクにはならない。

 

◯治療開始後、入院でも外来でも次の項目をフォローする

脂質:初期は2−4週間ごと、以降は1−6ヶ月ごと

HbA1c:初期は一ヶ月ごと、以降は1−6ヶ月ごと

胸部レントゲン:潜在性結核感染症疑われる+PSL投与量が多いときは定期フォロー

骨密度・胸腰椎X線:半年〜1年毎+適宜

眼科受診:必要に応じて。ステロイド開始前の眼科受診で何もなければ1年毎など。

 

ステロイドによる副作用の出現タイミング

開始当日:不眠、抑うつ

数日後:血圧上昇

2−3週間後:耐糖能異常、HPA(視床下部-下垂体-副腎系)抑制

1ヶ月後:中心性肥満、易感染性、ミオパチー

数カ月後:骨粗鬆症、紫斑

長期:白内障緑内障、無血管性骨壊死

日和見感染はプレドニン20mg以上を1ヶ月以上使用すると発生しうる(T細胞の減少による細胞免疫の低下による)

 

◯副作用予防策

胃潰瘍予防(胃潰瘍既往者、NSAIDS使用者、高齢者、ステロイド高用量投与時)

プロトンポンプ阻害薬タケプロンオメプラール等)

 

骨粗鬆症予防(4項目のスコアで合計3点以上で治療介入)

◯既存骨折:なし→0点、あり→7点

◯年齢:50歳未満→0点、50−64歳→2点、65歳以上→4点

ステロイド投与量(プレドニン換算mg/day):5点未満→0点、5−7.4→1点、7.5以上→4点

◯腰椎骨密度(%YAM):80以上→0点、70−80→2点、70以上→4点

ステロイド骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン参照

ステロイド3ヶ月以上使用予定のときに骨粗鬆症予防を考える。65歳以上、既存骨折あり、骨密度70%以下のいずれかあれば全例予防適応

ガイドラインで第一選択薬として推奨されるものはビスホスホネート製剤としてアレンドロネート(フォサマック®)やリセドロネート(ベネット®)。

例:アレンドロン酸35mg1回1錠週1回起床時

もしくはリセドロン酸17.5mg1回1錠週1回起床時

これらビスホスホネートが禁忌の場合は活性型ビタミンD3製剤などを検討する。

投与後は少なくとも年に1回は骨密度測定、脊椎レントゲンチェック。

 

◯ニューモシスチス肺炎の予防(以下の場合リスク有り)

プレドニン20mg/dayを一ヶ月以上、もしくは他の免疫抑制剤使用

(一般的にPSL20mg/dayでPCPのリスクになると言われるが、ステロイド投与しなくても免疫抑制薬や高サイトカイン療法を施行中もしくはステロイドが20mg/dayまで達していなくても高齢であったり既存の肺疾患のリスク因子があればPCP予防を考慮する)

・PSL0.5mg/kg/day以上、リンパ球減少(<400)、IgG低値(<700)などの条件を満たす時またはその他多発血管炎性肉芽腫症などある場合

→ST合剤(バクタ®)の使用を検討(例:ST合剤錠1回1錠1日1回)

 *ST合剤使用時の注意点として:重症薬疹、無顆粒球症、薬剤性血管炎、肝障害。これらはフォロー必要。

 

◯真菌感染症

深在性真菌症はβDグルカンで評価

口腔咽頭や食道粘膜面の表在カンジダ症に対してはファンギゾンシロップ等で対応。

 

◯無血管性骨壊死

・PSL20mg/day以上の使用で出現しうる。

ステロイド使用中に関節痛(特に股関節痛)が出現したらステロイドの影響を鑑別に上げる。

・早期診断にMRIが有用。当然X線より感度が高い。

 

ステロイドミオパチー

・PSL30mg/day以上の使用で出現しうる。

・骨盤周囲〜大腿近位筋のだるさの主訴が多い。進行すると嚥下障害や呼吸筋障害も出現しうる。採血でLDH、尿検査で尿中クレアチンクレアチニン比率チェック

・対策はステロイドの減量。10mg/day程度まで減量すれば筋力低下は1ヶ月程度で改善する。

救急「失神」

失神は「脳血流低下を原因とする、一過性の意識消失」である

おおざっぱにに分類されるが、そもそも失神なのか(意識障害、失神以外の意識消失ではない)は意識してアプローチする必要がある。

①本当に失神か判断する

失神

心血管性失神=HEARTS:Heart attack(AMI)、Embolism(肺血栓塞栓症)、A(大動脈解離、大動脈瘤切迫破裂、大動脈弁狭窄症)、Rthythm disturbance不整脈(洞不全症候群、高度房室ブロック、PSVT、VT、Vf、薬剤性や電解質異常も)、Tachycardia(心室頻拍)、Subarachnoid hemmorrhage(くも膜下出血)

→起立性低血圧:自律神経障害、Parkinson病、糖尿病、尿毒症、アルコール性、薬剤性(降圧薬、血管拡張薬、抗うつ薬)、出血下痢嘔吐

→神経調節性失神(迷走神経反射性失神、状況失神~排尿、排便、咳嗽、食後、精神的ストレス、髭剃り、きつめの襟元、頭位変換、吐き気や頭痛など前駆症状、片側の腕の労作ー鎖骨下動脈凍結、長時間の立位)

非失神性一過性意識消失

てんかん発作、低血糖など、心因性

 

②生命に危険を及ぼす原因(心原性失神や肺塞栓、大動脈解離、くも膜下出血)を除外する

問診...新規発症の胸部不快感ーACS・呼吸困難感ー肺塞栓・腹痛・頭痛・労作時仰臥位の失神・動悸ー不整脈直後の失神、警告症状なく前駆症状短い、若年の心臓突然死の家族歴、座位での失神、循環器疾患や手術の既往...(心血管性失神のリスク大きい)

血管拡張薬や陰性変時作用のある薬物(β遮断薬)、抗不整脈薬、向精神薬

身体所見...救外での低血圧(<90mmHg)、消化管出血疑い、覚醒時の持続的徐脈(<40bpm)、未診断の収縮期雑音、過剰心音(IIp亢進は肺高血圧、III音IV音は心不全)、神経学的診察

検査=心電図(Brugada QT延長 ARVC HOCM WPW症候群)、超音波検査、頭部CT、血液検査

 

San Francisco Syncope Rule(CHESS)に1つ以上該当すれば

 

 

失神の疫学

心疾患あり 心臓性失神39% 神経調節性失神49% 原因不明12%

心疾患なし 心臓性失神3% 神経調節性失神72% 原因不明25%

健康のための努力

健康のために、筋トレ、スタミナをつけるトレーニング、塩分カウント、糖分の記録、体重測定を極力毎日やることにしました。暖かく見守ってやってください。

 

コピペ用 体重、腕立て/腹筋/背筋、反復横飛び、糖分

 

2022年12月

22日

体重60.1、腹筋 40回、反復横飛び 60往復、糖分 みかん二つチョコレート一つ

21日

体重60.1、腹筋 33回、反復横飛び 55往復、糖分 みかん二つチョコレート二つ

20日 

体重60.2、腕立て(椅子利用) 30回、反復横飛び 50往復、糖分 みかん一つ

 

 

文字通り死ぬまで継続して、認知症にならずできる限り長生きしたいと思います。

造影剤腎症

1 造影剤腎症(contrast induced nephropathy:CIN)はどのように診断するか?
→一般的にはヨード造影剤投与後,72 時間以内に血清クレアチニン(SCr)値が前値より 0.5mg/dL 以上または 25%以上増加した場合に CIN と診断する.
→CIN 発症のリスクは腎機能低下に応じて増加するので,造影前にできるだけ直近の SCr 値を用いて腎機能を評価することが重要である.慢性腎臓病(CKD)の腎機能による重症度分類(表1)では,GFR<60 mL/min/1.73 m2のG3a~G5がCKDに該当する.

2 経静脈的造影剤による検査
CKD:eGFR<30 mL/min/1.73 m2の場合,予防策を講ずることを推奨 
重症患者:重症患者では,造影剤投与の有無にかかわらず AKI を発症するリスクが高いため,適切な予防策を講ずることを推奨
造影剤の減量:診断能を保つことのできる範囲内で最小限の造影剤投与量を推奨 Ⅳa(C) 
造影剤を減量する場合の撮影法:使用が可能な施設では低管電圧撮影と逐次近似画像再構成の併用を推奨
短期間反復検査:推奨しない 

3 造影剤腎症予防のための輸液法
生理食塩液:生理食塩液を造影検査の前後に経静脈的投与をすることを推奨 
飲水:飲水のみによる水分補給よりも輸液などの十分な対策を講じることを推奨
重炭酸ナトリウム(重曹)液:重炭酸ナトリウム(重曹)液投与は CIN 発症リスクを抑制する可能性があるため,輸液時間が限られた場合には,重曹液の投与を推奨
短時間重曹輸液:輸液時間の限られた緊急症例を除き,長時間輸液を行うことを推奨 
1.生理食塩液を造影開始 6 時間前より 1 mL/kg/h で輸液し,造影終了後は 1 mL/kg/h で 6~12 時間輸液
2.緊急症例では重曹液を造影開始 1 時間前より 3 mL/kg/h で輸液し,造影終了後は 1 mL/kg/h で 6 時間輸液

4 造影剤腎症の予防・治療
透析含め薬物投与による予防は推奨されない。
発症後の治療法として、薬剤を用いることは推奨されない。急性血液浄化療法に関しては、乏尿を伴う全身状態不良な患者には推奨されるが、腎機能予後を改善すること自体を目的とした急性血液浄化療法は推奨されない。

その他
透析中の造影CT→○
透析中の造影MRI→x

ビグアナイド系糖尿病薬
造影剤使用後の乳酸アシドーシス発症のリスクあり。
腎機能正常なら、
1.検査時からビグアナイド系糖尿病の内服を中止する。
2.検査後48時間はビグアナイド系糖尿病薬内服を再開しない。
3.その後、血液生化学検査にて腎機能に異常がない事を確認した後にビグアナイド系糖尿病薬内服を再開する。
腎機能が低下している場合(eGFR 60未満)
1.eGFRと造影剤使用法の院内規定に注意する。
2.造影剤使用48時間以上前からビグアナイド系糖尿病薬の内服を中止する。
3.検査後48時間はビグアナイド系糖尿病薬内服を再開しない。
4.その後、血液生化学検査にて腎機能に異常がない事を確認した後にビグアナイド系糖尿病薬内服を再開する。
eGFRと造影剤使用法の院内規定のG4扱いとする。
1.eGFRと造影剤使用法の院内規定に注意する。
2.腎機能が正常な場合に準じてビグアナイド系糖尿病薬を休止する。
3.検査後に生理食塩水 500mlを輸液する
4.乳酸アシドーシスの症状について慎重に経過観察する。

不整脈薬物治療ガイドラインより

こっちには、救急外来や病棟で不整脈があったときの対応をまとめます。

分かりやすさ重視で、細かい説明などは省きましたのでご理解お願いします。

 

1.徐脈性不整脈

第 1 度房室ブロック,洞徐脈や第 2 度房室ブロック(Wenkebach型)など無症候性の徐脈→治療適応はない。

有症候性、第2度房室ブロック(Mobitz II型)、Ⅲ度房室ブロック、洞停止、洞房ブロック、徐脈頻脈症候群(洞結節機能低下+頻脈性不整脈)→(テンポラリー)ペースメーカの植込みが第 1 選択。※1

橋渡し治療としては、アトロピン0.5mgの静脈内投与が最も行われ、次にイソプロテレノール0.01~0.03μg/kg/分の投与を行う。また、テオフィリン200-400mg/日やシロスタゾール200mg/日でも改善しうるが、徐脈性不整脈に対する保険適用なし。

 

2.期外収縮

2-1.上室期外収縮

100 拍/日程度までは正常と考えてよい。1000拍/日なら、40%で新規心房細動あり。

カフェイン・アルコール摂取の制限がfirst。症候性ならβブロッカー。

2-2.心室期外収縮

自覚症状が軽ければ生活習慣の改善で経過を見る。

器質的心疾患のない症候性心室期外収縮患者に対しては、 QOL 改善を目的としたβ遮断薬や Ca 拮抗薬の投与が行われる。

心室期外収縮頻発による心筋症患者に症状や左室機能改善を目的としたβ遮断薬やアミオダロンの投与は〇。

 

3.発作性上室頻拍

3-1. 救急対応

血行動態が不安定なら初手DC。

血行動態が不安定でなければ

①迷走神経刺激手技 modified Valsalva 

修正バルサルバ法のやり方ですが、通常のバルサルバ手技(45度の半座位で15秒の息こらえを行って解放)を行った直後に仰臥位に寝かせ、45度に下肢を挙上させて15秒保持します。ここまで読んでくださった人は、この手技により何が起こるか想像がつくと思います。バルサルバ手技の後にさらに静脈灌流を増やして血圧を上げようということです。ではこの修正法と古典的バルサルバ法のどちらがより不整脈治療につながったのでしょう。

 それぞれ214名の発作性上室性頻拍の患者に手技を行い、1分後の心電図で治療効果を判定したところ、古典法37/214 (17%) vs 修正法93/214 (43%) (オッズ比 3.7, 95%信頼区間:2.3-5.8;P<0.0001)という結果となっています。すごいぞ修正法!!

 

②ATP(アデホス)10mg(1管:+20mgを2回まで)急速静注→喘息に注意!

③ベラパミル(ワソラン)5mg+生食50mLを10分で※2(無効例では5mgを15-30分ごとに総量20mg)

④ジルチアゼム(ヘルベッサー)15-20mgを2-3分かけて静注(無効例では20-25mgを3分かけて追加)

⑤ジソピラミド50mg(5分かけて)、シベンゾリン70mg5mL(5分かけて)、ピルシカイニド=サンリズム(50mg5mL)、フレカイニド50mg5mL(10分かけて)、プロカインアミド1A200mg、アプリンジン100mg10mL+5%グル100mLを10分かけて(1回まで)静注

⑥⑤までで無理ならDC

3-2. その後の管理

根治してほしいならカテーテルアブレーション。

アブレーションやらないなら心機能評価。

心機能が軽度低下程度で顕性WPW症候群-ならβブロッカーorワソランorヘルベッサー、それが無理ならアミサリン250mg3T3x、リスモダン150mg2T2x、サンリズム50mg3T3x、タンボコール100mg2T2x、プロノン150mg3T3x。

 

4.心房細動

急性期に早急に心拍数調節療法を行う場合,おもに静注薬が用いられる.使用されるのはβ遮断薬,ジギタリス製剤,アミオダロンである.

心不全なく低血圧なし

→①ヘルベッサー(ジルチアゼム) (50mg/V)1V+生食10mL 4mLを2分でゆっくり入れる

→②ワソラン(ベラパミル)(5mg/2mL/A)+生理食塩水8mL (濃度:1mg/2mL)を4mL静注

(注:②はWPWによる心房細動の場合だと副伝導期を短縮させて脈拍が逆に早くなるのでNG)

原因不明な初発の心房細動の脈拍コントロールにはジルチアゼムを投与した方が無難。

また、β遮断薬(ランジオロール、オノアクト)はよく使われる。

50mgを200mLの生食に混ぜて、0.125mg/kg/minで1分間に25mL入れて、そのあと8mL/分ペースで入れる。

 

JL-KNIGHT 501)によって,心拍数抑制効果および洞調律回復がジルチアゼムよりも優れており,また低心機能(心不全合併)の頻脈性心房細動例を対象にして行われた J-LAND 502)によって,心拍数抑制効果がランジオロールのほうがジゴキシンより優れており,副作用の発現で差がなかったことが示されたことによる.

ジルチアゼム Caブロッカー 10mg/V 1Vを5mL以上の生食に混ぜて3分間かけて落とす

ジゴシン(ジギタリス製剤) 0.25mg 1mL を2-4時間ごと静注

○慢性心不全の治療に最も有用

 慢性期の第1 選択薬はβ遮断薬である.β遮断薬とジギタリス製剤の予後改善効果を検証した臨床試験では,β遮断薬は心機能の程度に関わらず患者の予後を改善させたが,ジギタリス製剤ではその効果は認められなかった

 

5.心房粗動

緊急的に R 波同期 50-100J の電気的除細動(心血行動態が不安定あるいは薬物治療抵抗性の場合

β遮断薬あるいは Ca 拮抗薬静注投与(心血行動態が安定している心房頻拍の停止ある
いは心拍数調節療法

・オノアクト 50mgを200mLの生食に混ぜて、0.125mg/kg/minで1分間に25mL入れて、そのあと8mL/分ペースで入れる。

・ベラパミル(ワソラン)5mg+生食50mLを10分で※2(無効例では5mgを15-30分ごとに総量20mg)

・ジルチアゼム Caブロッカー 10mg/V 1Vを5mL以上の生食に混ぜて3分間かけて落とす

ATP の急速静注投与(心房頻拍の停止あるいは上室性頻拍の鑑別に使用

除細動したら...

抗凝固療法
洞調律復帰を目的とした心房粗動における電気的除細動前後の観察研究によれば,血栓塞栓症の発症率が 1.5 ~2.2% に認められ 669, 670),特に 48 時間以上持続した心房粗
動例でリスクが高くなる 671).また,除細動後の一過性心房収縮欠如(心房筋スタニング)により,心房血流のうっ滞を生じ血栓塞栓症のリスクが高まることから,除細動後にも抗凝固療法の継続が必要とされる

β遮断薬あるいは Ca 拮抗薬経口投与(心血行動態が安定した心房粗動の心拍数調節療
法 680)
) I B A I
血栓塞栓症の予防を目的とした心房粗動における抗凝固療法 77, 692–697)

 

6.心室頻拍

特発性 VT の発生には生活習慣が関連することも多く,カフェイン,喫煙,飲酒の制限など,誘因の除去を考える 726)
.特発性 VT はカテーテルアブレーションの良好な急性期成功率と長期成績が示されており,まずアブレーションの適応を検討する 3, 73, 726).アブレーションが無効もしくは,施行できない場合には,薬剤を試みる.

 

7.多形性心室頻拍・torsade de pointes

先天性QT延長症候群:TdP の停止と急性期の再発予防には硫酸マグネシウムの静注(30 ~ 40 mg/kg,すなわち体重 60 kg の成人で硫酸マグネシウム 2 g(1A)を 5 ~ 10 分間で静注し,さらに効果があれば成人の場合 3 ~ 20 mg/分 782)(小児の場合:0.05 ~ 0.3 mg/kg/分)の持続点滴が有効である.
β遮断薬(プロプラノロール,ランジオロール 783))の静注も有効であるが,患者によっては抗不整脈薬(リドカインおよびメキシレチン)あるいは Ca 拮抗薬(ベラパミル)が TdP の抑制に有効な場合もある

二次性 QT 延長症候群:)硫酸マグネシウムを静注する.30 ~ 40 mg/kg を 5 ~10 分間で静注し,さらに効果があれば成人では 3 ~20 mg/ 分,小児では 1 ~ 5 mg/ 分(0.05 ~ 0.3 mg/kg/ 分)の持続点滴を行う.硫酸マグネシウムTdPの予防効果が高い 782, 802)が,血中濃度の上昇による副作用が出現したときには,減量あるいは中止を考慮する.腎機能障害を有する患者や高齢患者では高マグネシウム血症を起こしやすいので,患者の症状を注意深く観察するだけでなく,血清マグネシウム値をモニタリングし投与量を調整する.
(2)イソプロテレノールを 0.5 ~ 5 µg/ 分(小児では 0.1 ~1µg/kg/ 分)で静注する.持続静注で心拍数 100 拍 /分を目標に投与量を調整する.その位置づけはあくまでペーシング治療までのブリッジであり803),先天的な背景が疑われる場合には QT 延長をむしろ増悪させる可能性があるため,注意が必要である

 

8.特殊疾患に伴う心室細動心室頻拍

Brugada:急性期治療
心室細動ストーム時など頻回に心室細動が出現する際には,Ca 2+ 電流を増加させ,また心拍数増加に伴い Ito 電流を抑制するβ刺激薬のイソプロテレノールが有効である
(保険適用外).わが国からの報告では,イソプロテレノール 1 ~ 2μg を静脈内投与し,続けて 0.15μg/分を持続投与する方法,あるいは 0.003 ~ 0.006μg/kg/分持続投与する方法が有効とされる 

慢性期治療
24 時間以内に 3 回以上の心室細動発作を認める心室細動ストームの既往を有する場合,または一定の頻度で心室細動の再発を認める場合には,心室細動による ICD の適切作動を回避する目的で慢性期に経口で薬物治療が行われる場合がある.

 

9.心室細動・無脈性心室頻拍・心停止

 

10.小児の不整脈

narrow QRS頻拍:narrow QRS 頻拍はおおむね発作性上室頻拍であり,房室回帰頻拍,房室結節リエントリー頻拍,心房頻拍(マイクロリエ


ントリーを機序とするものを含む),心房内リエントリー頻拍などがあり,小児ではこの順で頻度が多い.

血行動態が不良で,上室頻拍かどうかの診断が困難な頻拍では,必要に応じて心肺蘇生を行いながら QRS 同期下カルディオバージョン(0.5 ~ 2.0 J/kg),もしくは電気的除細動を行う.
血行動態が安定していれば,迷走神経手技(息こらえ,アイスバッグ法,顔面浸水,頸動脈洞マッサージなど)を行い,効果がない場合に薬物治療を行う.

ほとんどの上室頻拍が房室結節を頻拍回路に含んでいるため,房室結節伝導抑制作用のあるアデノシン三リン酸(ATP)を急速静注する

再発する場合には Ca 拮抗薬(ベラパミル)をゆっくり静注 898–900),またはジゴキ
シンを静注する.Ca 拮抗薬は乳児期以下では血圧低下など重篤な循環不全をきたす可能性があるため,禁忌である89

房室回帰頻拍では副伝導路の不応期延長や伝導抑制をもたらす Na+チャネル遮断薬である IC 群薬(フレカイニド),IA 群薬(プロカインアミド,ジソピラミド)をゆっくり静注する.

wide QRS:wide QRS 頻拍の鑑別診断は,単形性 / 多形性心室頻拍,逆方向性房室回帰頻拍,脚ブロックを合併した上室頻拍,順行性副伝導路を介した心房細動に伴う心室頻回応答などがあげられる.

血行動態が不安定な場合
カルディオバージョンもしくは電気的除細動は 1 ~ 2 J/kgから開始し,不成功であれば 4 J/kg まで行う.

リドカイン,ニフェカラントあるいはアミオダロンの静脈注射が使用される.

 

 

 

11.妊娠中の不整脈

妊娠中の不整脈に対する治療の多くは非妊娠時の不整脈治療に準ずるが,胎児への影響を考慮した使用薬剤の選択が必要である

β遮断薬→子宮内胎児発育遅延などの児への副作用に配慮しながら投与が可能(有益性投与)である 974)
アミオダロン→児の甲状腺に対する影響から,妊娠中はできるだけ避けることが望ましい

 

 

参考文献

2020 年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン

https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/01/JCS2020_Ono.pdf

循環器医のための心肺蘇生・心血管救急に関するガイドライン

https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2010_kasanuki_d.pdf

 

※1 ICUや循環器病棟にて管理されるテンポラリーのモードはVVIモードであることがほとんど。

ペーシングレート:60

アウトプット:VVI作動中なら0。出力1mA以下という小さな刺激出力でも心室を捕捉できた場合、余裕を持たせて5mA程度で管理

Vセンシティビティー:2mV程度で管理

 

※2 ベラパミルは陰性変力作用、血管拡張作用あり、低左心機能、心不全状態、血圧が低い場合は使わない。

 

 

不整脈薬まとめ

@hirotanpiropiro さんの #不整脈薬レビュー が参考になったので、まとめてみました。

基本データ:

Vaughan Williams 分類

クラスIa Naチャネル抑制 活動電位持続時間延長

クラスIb Naチャネル抑制 

クラスIc Naチャネル抑制

クラスII βブロッカー

クラスIII Kチャネルブロッカー

クラスIV Caブロッカー

クレアチニン>2.0で使える薬剤 アトロピン、ATP

肝機能障害(Bil>2.0)で使える薬剤 ソタロール、アトロピン、ATP、ジゴキシン

 

目次:

1.ワソラン(ベラパミル) 2.サンリズム(ピルジカイニド) 3.アンカロン(アミオダロン) 4.ジギタリス 5.メキシチール(メキシレチン) 6.ベプリコール(べプリジル) 7.アデホス(ATP)急速静注 8.リスモダン(ジソピラミド)、シベノール(シベンゾリン) 9.タンボコール(フレカイニド) 10.プロノン(プロパフェノン)

 

1. ワソラン(ベラパミル)

クラスIV群、Caブロッカー

1回40~80mg, 1日3回内服 小児なら1回1~2mg/kgを1日3回 

 

〇心房心室間の伝導を抑制するため心房細動のレート下げたりPSVT停止に使用

〇一部のVTに効く(ベラパミル感受性VT)
×心機能悪い時は注意(特に静注、心機能悪い場合心臓止まる)
×偽性心室頻拍には禁忌
×気軽に使われがちだが静注する際は循環器コールすべき。

・ワソラン静注は、ATPでPSVT止めてもすぐ再発する場合か、特殊なVTの場合。内服はレートコントロールの時に出すことが多い。(β遮断薬を使うことが圧倒的に多いが)

 

2.サンリズム(ピルジカイニド)

クラスIc群、Naチャネル抑制

1回50mg, 1日3回内服 小児1日2mg/kg, 3~4回分服

Ccr<60→1日1回50mg Ccr<30→1日1回25mg Ccr<15→48hごと25mg

✔︎心房細動の停止や発作予防によく使用される
✔︎pill in the pocketが有名
✔︎持続時間が短く使いやすい
✔︎腎機能悪い方は注意
✔︎Brugada型心電図への使用も注意(Brugadaを顕在化させVFを起こす可能性あり)→診断目的で使用することも

心房細動患者が多い昨今、使用頻度が多い薬。私も薬で心房細動止めたい時によく出します。(内服静注ともに)
使用注意点としては腎機能障害、Brugada、あと心房粗動(Ⅰc心房粗動)を起こすことがあります。
あと薬が効くとQRSが幅広くなるのがポイント。効き過ぎてないかQRSに注目するのも大事ですね。

 

3.アンカロン(アミオダロン)

✔︎心房性にも心室性(VT/VF)にも有効
✔︎蘇生時にも活躍
✔︎効くまでに時間かかる
✔︎副作用(甲状腺機能障害、眼異常、間質性肺炎など)→要定期チェック
✔︎低心機能でも使える
✔︎半減期がめちゃ長い→1ヵ月以上
✔︎QT延長に注意→TdP

致死的不整脈(VT/VF)の予防にも有効な数少ない薬。
突然死予防と言えばICDですが、薬剤ではこの薬が最重要。
一般に不整脈薬は器質的心疾患がある場合予後を悪くするリスクがありますが、アミオダロンは心機能低下例でも使用できます。(むしろ他の選択肢がほぼない)
慢性期のQT延長→TdPにご注意を。

また心房性不整脈(心房細動)にも有効ですが、副作用もあるため原則は心筋症や心不全合併症例に使用しています。

突っ込んだ話をするとアミオダロンは静注と経口で薬理作用が少し異なります。(例えば使用急性期は除細動閾値を下げる一方で慢性期には上昇する、静注の方が血圧低下や徐脈が多い..etc)

 

4.ジギタリス製剤

✔︎強心薬として有名
✔︎房室伝導を抑制→心房細動のレートコントロール
✔︎ジギタリス中毒☠️→徐脈、催不整脈作用、消化器症状、精神神経症状etc
✔︎最近はあまり使用されない
✔︎救心はジギタリスと似た薬理作用があるらしい
✔︎花言葉は不誠実

強心薬としてかつて有名だった薬。
不整脈薬分野での主な使用は頻脈性心房細動のレートコントロール
一見強心作用もあって使いやすそうですが個人的にぶっちゃけると、
・レート下がらない(特に交感神経興奮状態の時)
・他の不整脈起こす(VPC、徐脈やブロック、頻脈など)
・中毒怖い

実際にはAFレートコントロールにはβ遮断薬が使えるならβ遮断薬第一、効果不十分だったり低心機能ならジギ少量追加みたいに使うことが多いです。その後必ずオフします。

 

5.メキシチール(メキシレチン)

✔︎心室不整脈に有効
✔︎主にVPC(一部のVT)に使用
✔︎心機能抑制が少なく使いやすい
✔︎副作用→めまい、ふるえ、消化器症状や神経症
✔︎糖尿病性神経症にも適応あり
✔︎特殊な症例でQT短縮作用も

イメージ的にはリドカインの内服版。
基礎疾患のないVPCで自覚症状強い方などにβ遮断薬と並んで処方することがあります。
正直すごく効いたな〜って経験はあまりないですが時に著効します。
副作用は時々経験するのでご確認を。
LQT3やアミオダロンなどのQT延長時にQT短縮に有効だった症例報告あり。

 

ついでにリドカインも。
リドカインは最近は蘇生の場ではアミオダロンに主役の座を譲りましたが、心機能低下作用が弱いため使いやすくVTでたまに使用します。
アミオダロンは効くまでに時間がかかりますがリドカインは早いのもメリット。
ACS含めVTの予防的な投与には推奨されてませんのでご注意を。

 

6.ベプリコール(ベプリジル)

✔︎心房性・心室不整脈にも有効
✔︎個人的に心房細動治療のキードラッグ
✔︎Ca遮断薬だがKやNaチャネルも抑制
✔︎狭心症にも適応→ほとんど使わない
✔︎QT延長に注意!!
✔︎薬剤性間質性肺炎にも注意
✔︎透析患者でも使用可

この薬無しでは心房細動治療は語れないくらい重宝している薬。
特に持続性心房細動の洞調律維持を狙う場合、内服下で電気的除細動やカテーテルアブレーションを併用します。(薬のみで洞調律復帰することもよくあります)
効果不十分の場合アプリンジンやⅠc薬と併用が有効なことも。

循環器科医しか処方しない薬だと思いますが内服していたら常にQT延長に注意を(TdP)。私は1日100mgまで。β遮断薬併用でQT延長を緩和できることがあり併用することが多い。
Brugada症候群VFのICD作動例にも使いますが効果は限定的な印象。
消化器症状や薬剤性間質性肺炎にもご留意を。

左房拡大に対してはベプリジルはよく使います。
心不全の場合には心不全の原因が何かにもよりますが、左心機能が著しく悪い場合にはベプリジルよりもアミオダロンを選択しています。
ただ軽度心機能低下例の持続性心房細動心不全症例に使うことは臨床的にはありますよ!

 

7. アデホス(ATP)急速静注

✔︎急速静注で房室伝導をブロック
✔︎例外を除けば
 PSVT→停止
 心房細動/粗動→停止せず
✔︎効果は長くても10-20秒
✔︎量や打ち方、交感神経亢進では効かないことも
✔︎胸部不快が起こる→使用前に患者さんに伝えること
✔︎喘息は禁忌

ATPは一瞬房室ブロックになるため、使い慣れるまで怖いと思いますが、慣れればPSVTの停止や頻拍の鑑別にとても有用。ATPを打った時の反応が大事です。(停止するか?P波のレートは?)
持続時間も短く大事故につながることも稀ですが、喘息の既往だけ確認を。

ATPを使いこなす者は不整脈を制す!!

一例を挙げます。

←ATP前
V1のP波ははっきり見えQRSと1:1に見えるため洞性頻脈にも見える。

→ATP直後
ATPで房室ブロックになるとQRSに重なったP波が確認、鋸歯状波も確認でき実は2:1の心房粗動。

ATP打つ時は心電図の延長記録を残しましょう。後で確認できると我々がとても助かります!!

 

8.リスモダン(ジソピラミド)、シベノール(シベンゾリン)

リスモダン(ジソピラミド) 1回100mg, 1日3回 

シノベール 1日300mgより開始、効果不十分なら450mg 1日3回(50mg or 100mg) 

いずれも腎排泄 腎機能障害だと×

✔︎主に心房性不整脈に使用
✔︎WPW症候群のKent束伝導抑制
✔︎抗コリン作用あり
・夜間発作型の心房細動に有効
・口渇、排尿障害、便秘など注意
・HR上昇
✔︎稀に低血糖
✔︎閉塞性肥大型心筋症の圧較差軽減

不整脈発作(主に心房細動)に使用される薬。
心房細動発作には日中発作型と夜間発作型があり、夜間発作型は抗コリン作用を持つこれらの薬が有効なことが多い。
→発作の時間帯の問診やホルター心電図が重要。

抗コリン作用はリスモダン>シベノール。シベノールの方を好んで処方されることが多いです。

副伝導路抑制作用があるためWPW症候群に伴う頻拍発作(AVRTやpseudo VT)の予防や、閉塞性肥大型心筋症の圧較差軽減目的に使用されることも多い薬です。
ただし抗コリン作用の副作用のため内服継続が難しい場合もあり。
処方の際には前立腺肥大、緑内障、重症筋無力症など既往の確認もお忘れなく。

 

9.タンボコール(フレカイニド)

✔︎心房性・心室不整脈に有効
✔︎主に心房細動やVPCの抑制
✔︎心筋梗塞後や心筋虚血例では予後を悪化させるため禁忌(CAST試験)
✔︎Ⅰc心房粗動に注意
✔︎カテコラミン誘発性VTにも有効性あり

私自身は心房細動や器質的心疾患のないVPCに処方します。まぁまぁ効く印象。

重要なのは心筋梗塞後のVPC抑制に使用したCAST試験では逆に予後を悪くしたこと。
→現在では心筋梗塞既往や虚血のある方にはIaとIcは原則禁忌です!
使用する場合にはβ遮断薬やリドカイン、アミオダロンを選択しましょう。

 

10.プロノン(プロパフェノン)

✔︎心房性・心室不整脈に有効
✔︎主に心房細動の停止や再発予防に使用
✔︎β遮断作用あり
 →徐脈に注意
 →心機能低下例の心不全増悪に注意
 →喘息既往の確認を
✔︎透析患者でも使用可
✔︎副作用→肝機能障害、消化器症状など

個人的に割とよく出す薬。添付文書通りの450mgから始めるのは少し怖いため私は300mgから出します。

β遮断作用があるので高齢者や心機能悪い方には慎重に。過去に喘息悪化の原因がこの薬だった経験あり。

透析患者でも安心して使えるⅠ群薬はプロパフェノンとアプリンジン。是非覚えましょう。